アニメーション制作現場での
CO2削減に取り組みながら、2025 年公開に向け、地球温暖化をテーマにしたオリジナルアニメーションを制作
【映画『Future Kid Takara』(仮称) 制作の経緯】
私たちのスタジオでは、アニメーションを作っています。
毎日スタジオに通う中、去年も今年も、異常気象だと思う日は増えました。35℃以上の猛暑日が続いて、夏は通勤が大変です。ゲリラ豪雨なんて、昔はありませんでした。日本のあちこちで、豪雨や台風で家が何軒も流される大洪水が毎年のように起きています。
2025 年までに、ある気温上昇のボーダーを超えると、もう戻れないかもしれないという番組を見た記憶があります。永久凍土が融けると、何かこわいことが起こりそうです。けれどもスタジオでは毎日アニメーションを作っています。
私たちは今まで、ほとんど何もしてきませんでした。そうしているうちに、ある日、そのボーダーは超えてしまうでしょう。
だから、私たちは、このアニメーションを作ることを決めました。ボーダーを超えてしまった世界は、アニメーションの中の世界だけにとどめたい。そのために、私たちは
CO2を削減しながら、アニメーションを作ることに挑戦します。本映画は、そのボーダーを超えてしまった世界に生きる少年タカラの物語です。
『Future Kid Takara』
ディストピアの未来を舞台にした、アクション満載のファミリー向け映画。現代の少女サラが 2100 年にタイムワープし、主人公のタカラと一緒に地球温暖化の影響で荒廃した世界を生き抜く冒険物語。
監督 佐野雄太 Yuta Sano コメント
この作品は環境問題をテーマにした“SF 冒険ファンタジー”です。
私たちの表現手段であるアニメーションは、その一人一人の心を動かし、世界を変える力があるのではないか?
そんな想いから生まれたのがこの『Future Kid Takara』です。
起こりうる未来をアニメの王道である冒険ファンタジーとして描いたオリジナルストーリー。
それを、STUDIO4℃ならではの独特な世界観で表現し、最高のエンターテインメントとして多くの人に楽しんでもらいたいと思っています。
そして、それを見た人の感動が世界の変化のきっかけになると信じています。
人々の心に響く、日本のアニメーションの力を見てください。
映画『Future Kid Takara』ぜひ、応援よろしくお願いします。
アニメーションディレクター、3D
アニメーター、CGI アーティスト。映画『ベルセルク 黄金時代篇』(2012-13)ではメイン CGI アニメーターとして活躍する一方、絵コンテや演出にも貢献した。短編アニメ『Red
Ash: Gearworld』(2015)で監督デビューし、アニメの美学と CGI を融合させる才能を発揮、『映画 えんとつ町のプペル』(2020)ではアニメーション監督を務める。最新作は、2022
年にテレビ放送された監督作「ベルセルク黄金時代編 MEMORIAL EDITION」。
企画アドバイザー 堅達京子 Kyoko Gendatsu コメント
今、地球温暖化は大きな分岐点に差し掛かっています。すでに産業革命前から1.1℃上昇し、強大な台風や豪雨、世界的な山火事や干ばつなどの被害が相次ぐ気候危機に直面しています。温暖化の原因である化石燃料などから排出される
CO2 を大幅に減らすことができなければ、2100年に地球の気温は 2℃以上上昇し、そのことが引き金となって 4℃以上も気温が上昇してしまう灼熱地球に突入してしまうリスクがあると科学者は警告します。
これを食い止めるには、気温の上昇を人類の防衛ラインともいえる1.5℃に抑えなければなりません。しかしタイムリミットが迫っています。サッカーの試合で言えば、地球を救うゴールを決められないまま、延長戦後半か、アディショナルタイムに入っている・・・私たちは今、そんな大ピンチにいるのです。ゲームオーバーにだけは、絶対にしたくない。私はマスメディアの人間として、一人でも多くの人にこのことを知ってもらい、自分自身の行動を変えてもらいたいと思っています。
大きな期待をしているのが、気候変動をテーマにしたオリジナルアニメ映画『Future Kid Takara』です。アニメには、人を動かす力があると信じています。ぜひ一緒に応援しましょう!
早稲田大学・ソルボンヌ大学留学を経て、1988 年に NHK 入局。報道番組のディレクターを経て、2006 年よりプロデューサー。NHK
環境キャンペーンの責任者を務め、気候変動や脱炭素、SDGs をテーマに数多くのドキュメンタリーを制作。難しい課題をわかりやすく伝え、多くの視聴者の心をつかんでいる。2021
年から、NHK エンタープライズに転籍。
主な制作番組に、NHK スペシャル「激変する世界ビジネス 脱炭素革命の衝撃」、NHK スペシャル「2030 未来への分岐点」、
BS1 スペシャル「気候危機を食い止めたい! 若者たちが挑む COP26」、NHK 民放6局連動環境スペシャル番組「1.5℃の約束
いますぐ動こう、 気温上昇を止めるために」など。
日本環境ジャーナリストの会副会長 環境省中央環境審議会臨時委員 文部科学省環境エネルギー科学技術委員会専門委員 世界経済フォーラムGlobal
Future Council on Japan メンバー 東京大学未来ビジョン研究センター客員研究員
【主な著書】
・『脱プラスチックへの挑戦 持続可能な地球と世界ビジネスの潮流』(山と溪谷社)
・『脱炭素革命への挑戦 世界の潮流と日本の課題』(山と溪谷社)
科学アドバイザー
江守正多 Seita Emori コメント
地球の平均気温が 4℃上昇した状態を、私たちはほとんど想像できていません。カナダや北欧が氷で覆われていた 2 万年前の氷河期ですら、平均気温は今より
6℃しか低くありませんでした。それを考えると、4℃温暖化した地球は今とは相当変わり果てた気候であるはずです。しかもその上に乗っているのが、格差と分断に満ちた脆弱な人間社会だとしたら。それは何世代も先の遠い未来の話ではなく、最近産まれた子供たちが生きている間にやってくるかもしれないことです。そして、私たちは今、そんな未来を避けられるかどうかの瀬戸際に立っています。私たちは普通に生活していると、自分自身がそんな歴史の重大局面に立たされた主人公の一人ひとりであることを、なかなか感じることができません。だから、物語の力が必要です。映画『Future
Kid Takara』は、2100 年の未来に思いをはせる想像力と、歴史を選択する時代に生まれ落ちたことの実感を、私たちに与えてくれる、希望の物語になるでしょう。
東京大学教養学部卒業。同大学院総合文化研究科博士課程終了。博士(学術)。1997年より国立環境研究所に勤務。専門は気候科学で、コンピュータシミュレーションによる地球温暖化の将来予測を研究するほか、一般向けに地球温暖化に関する解説書の執筆や、コメンテーターとしても活躍している。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次および第6次評価報告書主執筆者。
2022年より東京大学未来ビジョン研究センター教授。国立環境研究所上級主席研究員。
【主な著書】
・『地球温暖化はどれくらい「怖い」か??温暖化リスクの全体像を探る』(技術評論社)
・『NHK スペシャル 気候大異変 地球シミュレータの警告』(NHK 出版)
・『異常気象と人類の選択』(角川 SSC 新書)
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